2009.05.31

皮膚病と脱毛症⑰/じんましんと皮膚掻痒症

じんましん


 虫に刺された跡のように、淡紅色の浮腫性の発疹(膨疹)ができるものです。
 痒く、ひっかくと、その筋に沿って皮膚が赤く腫れてきます。
個々の発疹は30分から2~3時間で跡形もなく消えますが、一方、次々に新しいものが出来てなかなか治りません。
 イラクサ(尋麻)にさされたあとのように腫れるので、尋麻疹(じんましん)という名があるのです。
 イラクサのトゲ
にはヒスタミン物質が含まれています。
 じんましんの原因は、皮膚末消の毛細血管透過性の亢進が原因です。それを誘発する物質(化学伝達物質)の多くは肥満細胞から出るヒスタミンで痒みの原因となります。
 
痒みを生じる物質の直接刺激ではなく、抗原抗体反応(アレルギー反応)
によってじんましんの出てくることもあります。
 これは、ある原因物質(抗原)
が一度体内に入ると、これを排除しようとして抗原抗体反応が起こります。この結果、血中の肥満細胞から、痒みを起こす物質(ヒスタミン・アセチルコリン・セロトニン)が産生されて、じんましんが起こるのです。抗原としては、食物(魚介・肉・生乳・卵など)、薬剤(ペニシリン、ピリンなど)、ほこり、香料など、なんでも抗原になりえます。圧迫、摩擦(人工じんましん)、温熱、ストレスも原因になります。
 治療は、抗ヒスタミン薬、あるいは抗アレルギー薬の内服をします。また原因がわかれば除くことが大切です。
 抗アレルギー薬は肥満細胞でのヒスタミン産生も抑えます。治療中断で再発することもありますが、根気よく治療しましよう。
 重症のときは副腎皮質ステロイド薬を内服すると、短期間でよくなります。
 西洋医学では、副腎皮質ステロイドが最近は多用されていますが、副腎皮質ステロイドは安易に多用するものではありません。
 副腎皮質ステロイドは副作用があります。成長途中の子供には成長阻害をおこしたり、免疫力低下を招いたりします。
 じんましんは必ずじんましんを起こす原因があります。じんましんの症状をすぐに薬で抑えようとすることも、もちろん大切ですが、そのじんましんの原因を追及して、原因を知ることが最も大切です。じんましんが重症化する原因は、その同じ原因に何度もさらされることです。
 一度、じんましんを起こしますと二度目は同じ原因にさらされると、もっとひどい症状になります。三度目はさらにひどくなり、アナフィラキシーショック症状を引き起こす危険が出てきます。
 この事は、呼吸困難を起こし、死に至ることもあるとても危険な事です。たかがじんましんと軽く考えないようにしましょう。


新家庭の医学 時事通信社著参考


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