2024.09.30
脂漏性脱毛症の薄毛や脱毛の原因と発毛アドバイスについて(1)
脂漏性脱毛症をご存じでしょうか?
男性型・女性型脱毛症、円形脱毛症など、一言で脱毛症といってもさまざまな種類があります。
脂漏性脱毛症はその中の一種です。
今回は、まず脂漏性脱毛症とは何かというところから解説し、なりやすい食生活と嗜好品、さらには脂漏性脱毛症になりにくい食べ方についても紹介していくので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
脂漏性脱毛症とは?
脂漏性脱毛症とは、脂漏性皮膚炎を原因として起こる脱毛症のことです。
脂漏性皮膚炎は、皮脂の過剰分泌によって皮膚が炎症を起こしてしまうことで、べたつきやニキビ、湿疹などが現れます。
脂漏性脱毛症では、ある日突然髪の毛が抜けるのではなく、徐々に薄毛になっていく傾向があります。治療をしないまま放置していると、最悪の場合髪の毛が生えてこなくなってしまうでしょう。
脂漏性脱毛症になりやすい体質の要因としては、以下のとおりです。
- ・食生活
- ・嗜好品
- ・生活リズム
- ・ストレス
- ・病気
- ・遺伝
以降では、食生活と嗜好品という「食べ物」に焦点を当て、どういった食生活や嗜好品が脂漏性脱毛症につながるのか解説していきます。
食生活:飽和脂肪酸のとりすぎ
脂漏性脱毛症になりやすい食生活と、肥満になりやすい食生活は共通しています。
タンパク質、炭水化物に並ぶ三大栄養素の脂質に「肥満を引き起こす栄養素」というイメージを持っている方は少なくないのではないでしょうか。
脂質は、私たち人間が活動するためのエネルギー源や細胞膜の構成材料、血液の成分となったり、ステロイドホルモンを合成したりと、生きていく上では欠かせません。
また、ビタミンA、D、Eなどの円滑な吸収にも不可欠な栄養素です。
その一方で、確かに脂質はとりすぎると肥満を引き起こす要因となり得ます。ただし、脂肪は一様に肥満につながるわけではありません。脂肪の中には多数の構成要素があり、その一部が肥満を引き起こしやすいということなのです。
そして、肥満につながる構成要素はすなわち脂漏性脱毛症につながる一因となります。
脂質の主要な構成要素に「脂肪酸」があります。脂肪酸には大きく分けて飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がありますが、飽和脂肪酸は動物性脂肪に多く含まれ、コレステロールを増やしたり血液の粘度を高めたりする作用があります。
一方、植物性脂肪に多い不飽和脂肪酸は、コレステロールを減らしたり、血液をサラサラにしたりする作用があります。
脂漏性脱毛症につながりやすいのは飽和脂肪酸です。
飽和脂肪酸を多く含む食事ばかりだと、肥満や脂漏性脱毛症のリスクが跳ね上がってしまいます。
特に、現代人は動物性脂肪をとりすぎる傾向が見られ、生活習慣病や肥満を起こすケースが後を絶ちません。
飽和脂肪酸は豚や牛、鶏などの肉類に多く含まれます。中でも、育毛上とるべきでないのが牛脂とラードです。
これらは肉の部位の中でも特に飽和脂肪酸の含有率が高く、健康の観点から見ても摂取はできる限り控えるべきといえるでしょう。
ただし、摂取量を0にすべきというわけではありません。飽和脂肪酸をとったら、それより多くの不飽和脂肪酸をとるように意識しましょう。
不飽和脂肪酸は、生活習慣病や肥満の予防・改善に導くという飽和脂肪酸とは真逆の働きをしてくれ、脂漏性脱毛症の予防・改善にも効果が期待できます。
不飽和脂肪酸にはいくつか種類がありますが、特にn-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸をとるべきです。n-3系脂肪酸は青魚やアマニ油などに、n-6系脂肪酸は大豆油や米油、卵黄などに多く含まれています。
脂漏性脱毛症の予防・改善と育毛のためには、飽和脂肪酸の摂取を控え、不飽和脂肪酸をとるように心掛けましょう。
嗜好品:油脂のとりすぎ
食生活の項目では、飽和脂肪酸すなわち肉類を控え、不飽和脂肪酸を多くとるべきだと解説しました。
油脂とは漢字の通り「油+脂」で、常温で液体のものが油、常温で固体のものが脂です。油脂も脂質の構成要素であり、脂肪酸と同じようなものだと捉えていただいて構わないでしょう。
厚生労働省によると、脂質の食事摂取基準は総エネルギーに対し、男女関係なく20~30%とされています。
これは、朝食・昼食・夕食はもちろんですが、間食や夜食も含めた一日の摂取量に対する割合です。
そこでここでは、嗜好品に含まれる油脂の量と、日常的に食べることの多い食品の油脂について解説します。
嗜好品に含まれる油脂の量
まずは代表的な嗜好品と、それに含まれる油脂の量と割合を見ていきましょう。
食品 | 油脂の量 | 油脂の割合 |
ショートケーキ(1切れ) | 約25g | 約20% |
チョコレートケーキ(1切れ) | 約30g | 約25% |
アイスクリーム(1カップ) | 約15g | 約10% |
板ミルクチョコレート(1枚) | 約15g | 約30% |
ドーナツ(1個) | 約10g | 約15% |
どら焼き(1個) | 約3g | 約5% |
ポテトチップス(1袋) | 約30g | 約40% |
「意外と油脂の含有量が多いな」と思われた方も少なくないのではないでしょうか。
これらの嗜好品のどこに油脂があるのか、疑問に思う方もいるかもしれません。
簡単にいうと、以下のどちらかに該当する嗜好品は、油脂を多く含んでいます。
- ・材料に乳類が使われている
- ・油で揚げている
「小腹がすいた」「頭を回転させるための糖分補給」などと、ついつい油脂を多く含む嗜好品を頻繁に食べてしまう方も多いでしょうが、髪の毛にとってはあまり好ましくありません。そのため、嗜好品を食べたいと思ったときには、油脂をあまり含んでいないものを選びましょう。例えば、ゼリーやグミ、ドライフルーツ、せんべいなどがおすすめです。
日常的に食べることの多い食品の油脂
次に、日常的に食べることの多い食品の油脂について解説します。
以下の食品は、油脂と意識しにくいですが、日常的にとりがちな油脂を多く含む食品です。
- ・マーガリン
- ・調理用油
- ・ドレッシング
- ・マヨネーズ
- ・コーヒーフレッシュ
食事のお供としてよく使う方も多いのではないでしょうか。ただ、これらも成分に油や乳類を多く含んでいるため、できる限り使用量は抑えたほうが良いでしょう。
もしかすると、ここまでの説明で「不飽和脂肪酸なら健康に良いから食べても良いのでは?」と感じた方もいるかもしれません。本記事でも食生活の項目において、不飽和脂肪酸を多くとることを心掛けるように述べました。
しかしながら、不飽和脂肪酸だからといって過剰に摂取して良いわけではありません。不飽和脂肪酸もリノール酸やα-リノレン酸など、さらに作用の異なる成分に分けられるのです。
このリノール酸とα-リノレン酸は、どちらも不飽和脂肪酸のため体に良いと思われがちですが、実際はそうともいえません。
リノール酸は、一日の必須量が体重60kgで1~2gとされており、白米であれば2.5杯分、パンならば2枚分です。
リノール酸には、血液をサラサラにする作用がありますが、とりすぎるとかえって血液をドロドロにしてしまい、血栓ができるリスクを高めます。
もちろん、必須量を守っていれば心配はありませんが、日常的に過剰摂取し続けると、体に弊害が出る可能性があります。
体に良い影響のみを及ぼすのは、脂肪酸の中でα-リノレン酸のみといわれており、都合よくα-リノレン酸のみを含む食品はありません。
含有量が多い食品として、えごま・しそ・ほうれん草・くるみなどが挙げられます。
つまり、不飽和脂肪酸は体に良い影響を与えますが、過剰摂取は体に良くないということです。
油脂の多い食べ物は何であれ、多くとりすぎないように注意しつつ、飽和脂肪酸よりも不飽和脂肪酸の量が多くなるような食事を心掛けましょう。
脂漏性脱毛症になりにくい食べ方とは?
それでは、脂漏性脱毛症を予防・改善して育毛を促進するためには、具体的にどのように食事をすれば良いのか説明していきます。
食事は野菜から先に食べる
まずは野菜と食物繊維の量を増やしましょう。簡単なサラダやおひたしが始めやすいかもしれません。
また、白米に玄米を混ぜたり、パンを全粒粉やライ麦のものに変えたりするのもおすすめです。スムージーやスープも良いでしょう。
そして、これらの野菜や食物繊維は食事の最初に食べましょう。そうすることで、血糖値の急激な上昇が抑えられる上に、かむ回数が増えることで満腹中枢が刺激され、その後に食べる主食や主菜の量を減らせます。これにより、脂質のとり過ぎを防げるのです。
食べる油脂類を選ぶ
同じ肉類でも、豚や牛よりも鶏肉のほうが脂質量や飽和脂肪酸量が少ないため、肉類を食べるならば鶏肉を積極的に選びましょう。
また、肉や野菜を焼く油には、α-リノレン酸を多く含むえごま油やしそ油を使いましょう。
油脂を含む食べ物をとらないのは無理がありますし、まったくとらないのは体に良くありません。油脂が少なく、質の良いものを選ぶように心掛けましょう。
主菜の中心を魚類にする
魚類には、不飽和脂肪酸の他にも栄養があります。
特に、青魚にはDHAやEPAなど、健康に良い栄養素が豊富に含まれています。豚や牛より鶏肉がおすすめと先述しましたが、可能であれば魚類を主菜とした食事にしましょう。
柑橘類やクエン酸(酢の物)をよく食べる
クエン酸や酢には血糖値の上昇を抑制する他に、ミネラルの吸収を促進したり、胃腸の調子を整えたりする効果があるため、積極的にとり入れたい食品です。
発酵食品をよく食べる(漬け物、乳酸菌など)
発酵食品は、腸内環境を整えて全身の調子を改善してくれるため、ぜひ積極的に食べましょう。
キノコや海藻をよく食べる
キノコや海藻には、食物繊維が豊富に含まれています。主菜や味噌汁に混ぜるなどの工夫をし、毎日食べるのがおすすめです。
ゆっくりとよくかんで食べる
よくかんで食べることで、満腹中枢が刺激されて過剰な食物の摂取が防げます。腹八分目を意識し、適度な食事量を心掛けましょう。
まとめ
脂漏性脱毛症になりやすい人の食生活と、肥満や生活習慣病になりやすい人の食生活は共通しています。そのため、脂漏性脱毛症の予防・改善のためには、何よりもバランスの良い食事が大切です。バランスの良い食事は、髪の毛へ十分な栄養を送るため、育毛にもつながるでしょう。
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